第718条(動物の占有者等の責任)
1 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
第718条(動物の占有者等の責任)はペットをはじめとする、「飼われた動物」が他人に危害を加えた場合、飼い主の取るべき責任を規定した条文。
本記事では、この条文をわかりやすく解説します。
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第718条(動物の占有者等の責任)の要件・効果
本条文を分解して噛み砕くと以下のような要件が含まれています。
- 飼われていたり、管理されている動物が他人に危害を加えた。
- 飼い主又は、管理者に不注意がないこと。
以上の要件が揃うと、「飼い主は責任を負う」ことになります。
以下詳しく見てみましょう。
1.飼われていたり、管理されている動物が他人に危害を加えた
1項本文の「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害」という部分より、「飼われていたり、管理されている動物が他人に危害を加えた」というのが導けます。
法律上、動物を飼うことを「動物を占有する」と言います。
つまり、「動物の占有者」とは「飼い主」のことを指します。
2.飼い主もしくは、管理者に不注意がないこと
原則ペットが他人に危害を加え場合、飼い主か管理者が責任を負います。(1項本文)
ただし、1項後段のただし書きに「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。」と記載があります。
つまり、飼い主が「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもって管理したことを証明」できた場合は、責任を免れます。
ここで引っかかるのが、「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理」って何?ってなるかと思います。
まず、動物の種類、性質とは次のようなことを指します。
- 種類:種類(犬、猫)・性別・年齢
- 性質:病気・癖(噛み癖)
そして、「相当の注意」とは、普通に注意していたことを意味し、異常事態に対処することまでは必要とされていません。
例えば、噛み癖(性質)のある犬(種類)を頑丈な檻で更に鎖でつないで(相当の注意)飼っていた場合は飼い主は免責されます。
檻の強度に問題があり、檻が壊れた場合でも、飼い主は相当の注意をもって管理したことを証明できなかったときは免責されません。