第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)をわかりやすく解説

第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

本記事では「工作物責任」と呼ばれる第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)がいったい何を言いたいのか?意味をわかりやすく解説しています。(令和3年度行政書士試験 記述にて出題 R3-46)

民法 第717条の概要

まず、本条文の概要をわかりやすい言葉で簡潔に解説します。

本条文は、「工作物」と「竹木」の設置の仕方や、管理に不具合があり、他人に危害を加えてしまった場合に誰が責任をとるのかを規定しています。

土地の工作物とはなにか?

ここで「土地の工作物」とはなにか?を解説します。

「土地の工作物」とは一言で「土地に定着する人工物」のことです。

つまり、人が作ったもので、地面にくっついている物を「土地の工作物」と言います。

例えば、以下のような物が土地の工作物にあたります。

  • 建物
  • 踏切
  • 工場内の機械

厳密には土地の工作物と建物は区別されますが、本条文では建物も土地の工作物として扱われます。

竹木とは?

本条3項に出てくる「竹木」とは、呼んで字のごとく「竹」と「木」です。

つまり、「植物」のことです。

こちらも、本条2項により「工作物」と同じように扱われます。

不具合とはどの程度か?

条文では「設置又は保存に瑕疵(かし)」つまり、「設置又は管理に不具合」があった場合、責任を取ると規定されています。

では、一体どの程度の不具合がこれに当てはまるのでしょうか。

この点、判例では「工作物が通常有すべき安全性をかいていること。」(最判 45.8.20)となっています。

もうちょっと分かりやすく言うと、誰が見ても「その設置や管理じゃ安全じゃないでしょうよ。」って思う場合のことを言います。

例えば、屋根が壊れかけてるのにの放置してたとか、そういうのです。

天災などで危害が起きた場合は?

また、工作物の設置、管理に不具合がなくても、豪雨や強風、台風などの天災等(不可抗力)で損害が生じた場合は免責されます。

※ ただし不可抗力によるものでも、設置や管理に不具合があった場合は免責されません。

誰が責任を取るか?

誰が責任を取るかですが、原則と例外で2段階で責任をとるべき人を規定しています。

  1. 原則「占有者」
  2. 例外「所有者」

1.原則「占有者」が責任を負う

原則は「占有者」が責任を負います。

「占有者」とは自分の物のように使用している者を言います。

わかりやすいのが賃貸アパートを借りて住んでいる人ですね。

基本的には、まず占有者が責任を負うことになっています。

2.例外「所有者」が責任を負う

もし、占有者が「損害の発生を防止するのに必要な注意をしたとき(1項ただし書き)」は、占有者ではなく工作物の所有者が責任を負います。

※ 所有者は例え自身に過失がなくても責任を負うことになります。

これを「無過失責任」なんて言ったりします。

ここまでをまとめてみましょう。

例えば、「Bさん所有のアパートをAさんが借りて住んでいた。」という事例があったとします。

事例①

ある日、Aさんが屋根が壊れかけてるのに気づいたが、全く気にせず放置していたところ、屋根が崩れて通行人のCさんに怪我を負わせた。

この場合、占有者であるAさんがCさんに対して責任を負います。

事例②

一方、屋根が壊れかけているのに気づいたAさんは、Bさんに屋根を修理するよう催告した上で、応急処置として屋根が崩れるのを防ぐ措置をしたが、屋根が崩れて通行人のCさんに怪我を負わせた。

この場合、所有者であるBさんが責任を負います。

前所有者が不具合を放置していた場合

では、もし前の所有者が不具合を放置した状態で、所有権が移り、新たな所有者の元で損害が起きてしまった場合、誰が責任を負うのでしょうか?

この点、判例によると現在の所有者が責任をとることとされています。

求償権について

また、他に責任を負うべき人がいる場合は、占有者や所有者はその人に対して、損害の支払いを求める事ができます。(3項)

これを「求償」と言います。

つまり、占有者と所有者は求償する権利(=求償権)があると言えます。

例えば、手抜き工事により損害が発生した場合などは、アパートを借りている人や、所有者は工事業者に対して求償することができます。

工作物責任をわかりやすく解説:まとめ

今回の内容をざっくりまとめるとこんな感じです。

まとめ
  • 工作物責任は原則「占有者」が負う。
  • 占有者が、損害発生を防止するのに注意した場合、所有者が負う。
  • 他に責任を負うべき人がいる場合、その人に請求できる。