道路の境界線って縁石じゃないの?【官民境界をわかりやすく解説】

  • 道路の境界線はどこにくるのか?
  • 境界線は縁石の位置でいいの?
  • 官民境界はどこの部署で確認すればいいの?

こんな疑問に答えます。

結論、道路の境界線は縁石の位置ではない場合があります。

そもそも、道路の境界線が決まっていないケースが多々あります。

本記事では、宅建士資格を有した神奈川県の行政書士が道路の境界とは一体どういうものなのか。そして、どのように決められるのかをわかりやすく解説します。

本記事を参考にすると、その土地の道路の境界が決まっているのかどうかを知る方法がわかります。

どうぞご覧ください。

道路の境界とは?

道路の境界は、官民境界の1つで公道と民間の土地との境界線のことです。

道路の境界は土地によって決まっているところと、決まっていない場所があります。

官民境界とは?

官民境界とは、官(=役所)と民(=民間)とが所有する土地の境界線の事です。

官が所有する土地の例としては以下のようなものです。

  • 道路
  • 公園
  • 学校

なお、道路と言っても私道の場合、役所は関与しません。

縁石の位置と一致しない場合がある

道路の境界線は必ずしも縁石の位置と一致するとは限りません。

道路の境界線は、役所に収められている根拠となる過去の図面(耕地整理図等)を復元した位置を想定の境界線とされそれを元に決められます。

これが現況の縁石の位置と一致する場合もあれば、しない場合もあります。

また、建築基準法により、セットバックした部分に縁石を施工する場合もあります。

この場合、セットバックした位置はあくまで、セットバックラインで道路の境界線とはまた異なります。

道路の境界を決める必要がある場合

道路の境界が必要な場合は主に以下3つの理由があります。

  • 分筆登記
  • 地積更正登記
  • 土地の売買(不要な場合もあり)

いずれも、当該地の全て境界の境界を決める必要があり、官民境界もその中の1つの境界として扱われます。

分筆登記

土地を分割する登記をする場合は道路の境界が決まっている必要があります。

現在は法務局で全ての境界が決まってないと、分筆登記の受付をしてくれません。

官民境界もその一部としてみられます。

地積更正登記

同じく、地積(=地積)を修正する登記をする場合も必要。

こちらも法務局で官民境界が決まっているかが見られます。

分筆登記と地積更正登記は地積測量図という図面の提出を義務付けられています。

地積測量図に関してこちらの記事をご覧ください。

土地の売買(不要な場合もあり)

土地を売買する場合。

現在の不動産売買の現場では全ての境界が決まっていることを前提で取引することが多くなっています。

その場合、官民境界が決まっている必要があります。

ただし、これは買い主次第で、不要な場合もあります。

既に道路の境界が決まっているケース

過去に以下2つが終わっていれば、道路の境界が決まっています。

  • 既に道路査定がされている
  • 地籍調査が終わっている

既に道路査定がされている

道路査定とは役所と打ち合わせをし、近隣の土地所有者と現地立会をした上で道路の境界を決めること。

最終的に土地境界図という図面が添付された境界通知書が最終的に出来上がります。

これらは役所で永久保管されます。

道路査定は自分でできるか

専門技術も必要なため、自分ではおそらく無理です。

  • 測量
  • 図面作成
  • 役所との打ち合わせ

通常、申請は土地所有者が行いますが、業務は基本的に土地家屋調査士という国家資格所有者が代理で行います。

道路査定の費用は?

土地家屋調査士に依頼をするため、約数十万円の費用がかかります。

道路査定の期間はどのくらいかかるか?

道路査定は着手から完了まではだいたい3ヶ月と言われています。

これは、土地家屋調査士と役所が以下の業務をするため。

  • 土地の測量
  • 図面作成
  • 打ち合わせ
  • 現地立会
  • 役所の書類チェック

とくに、現地立会は近隣の土地所有者の都合もあるため、コントロールがしづらい部分でもあります。

地籍調査が終わっている

地籍調査が終わっている地区では道路の境界が決まっています。

地籍調査とは

地籍調査とは役所が予算をとって、土地を測量し境界を決める調査のことです。

つまり、公費を使い街区単位で全体的に測量し、道路に隣接する全ての土地所有者に了解を得ます。

そして、最後に街区点番号図などの図面を作成します。

  • 測量
  • 隣接する土地所有者に了解を得る
  • 図面作成

地籍調査が終わっていれば、道路査定申請をすることなく道路の境界が決まります。

ただし、地籍調査実施済み地区でも次のケースでは道路査定申請が必要です。

確認未了の場合は道路査定申請が必要

街区点番号図などの図面に「確認未了」となっている場合。

言葉のとおり、確認が出来てないことを意味します。

理由は次の2つが主です。

  • 土地所有者と連絡がつかなかった
  • 土地所有者がOKしなかった

上記の場合は「確認未了」のため、改めて道路査定申請が必要です。

もちろん、費用は民間持ち。

また、境界のラインは地籍調査のラインと変わることはないので、もし地籍調査が行われていたら素直に認めた方が得です。

余計な出費をせずに済むので。

道路の境界線はどこに行けばわかるか

市区町村によって違いはありますが、道路の境界は以下2つの部署で管理されています。

  • 本庁舎の道路公園課
  • 土木事務所

それぞれみていきます。

本庁舎の道路公園課

本庁舎で道路の境界を管理している場合、大抵はこの「道路公園課」という部署が担当します。

こちらに出向いて、窓口で「道路の境界の有無を知りたい」旨を伝えればすぐに教えてくれます。

土木事務所

本庁舎で道路の境界を管理していない場合、「土木事務所」という施設に出向く必要があります。

この場合、本庁舎とは離れた場所に位置している場合もあります。

そのため、予め調べたい土地はどこの管轄になるのか事前に電話で確認した方がいいです。

道路の境界線について:まとめ

道路の境界とは、土地と道路の境界線のことでした。

そして、道路の境界を決めるには、「道路査定申請」という手続きが必要。

また、既に道路の境界が決まっている場合もあり、その有無は役所(道路公園課や土木事務所)に行けばわかります。