- 空き家はなぜ増えるのか?
- 空き家が増えることでの問題点ってなに?
こういった疑問に答えます。
昨今、問題視されている「空き家」。空き家がなぜ増えるのか?その理由と原因を不動産に詳しい行政書士が解説します。
また、先日成立した「改正空き家対策特措法」により、今後、空き家を放置することで税金が高くなってしまう可能性が増えました。その理由についても、要点をしぼってできる限りわかりやすく解説します。
本記事を読めば、現在の日本が抱えている空き家問題を理解することができます。
なぜ、世の中こんなにも空き家が増えているのか気になる方はぜひご覧ください。
増え続ける空き家【空き家問題】
現在、日本では空き家が増え続けています。
具体的にどのくらい増えているかというと、住宅総数の約7戸につき1戸が空き家になっているというデータが出るくらい。
実際に20年前と比較して約1.5倍に増えています。(2018年の総務省「住宅・土地統計調査」より)
これだけ空き家が増えてしまったのには理由があります。
空き家はなぜ増えるのか?その理由と原因
空き家がなぜこんなにも増えているのか、以下の理由が考えられます。
- 理由①:相続で管理ができない
- 理由②:解体にお金がかかる
- 理由③:更地にすると税金が上がる
詳しくご説明します。
理由①:相続で管理ができない
まず、相続で管理ができないというのが挙げられます。
実家を相続をしたが、実家とは離れた場所に住んでいるため、管理することが難しく、結果として空き家となってしまったケースです。
この場合、最初は人が住める家屋が次第に朽ち果て、庭には雑草が生い茂ります。
理由②:解体にお金がかかる
もう、住む予定は無いが、解体にお金がかかるため、とりあえず放置しているケース。
解体するとなると、何百万円という単位で解体費がかかります。
それなら、解体せずとりあえず放置しておこうという考えにより増えてしまったのです。
理由③:更地にすると税金が上がる
更地にすることで、税金が上がってしまうから解体せずにいるケース。
日本で空き家が増えた一番の原因がこれだと言えます。
なぜ、税金が上がる?
空き家を解体し更地にすることで税金が上がる理由は「税軽減特例」が効かなくなるからです。
どういうことかというと、2023年6月26日現在、住宅用の土地は「住むための土地」として特例で固定資産税が安くなる仕組みになっています。
例えば、住宅用の土地の200平方メートル以下の部分は税金計算の指標となる「評価額」が最大6分の1になるため、結果的に固定資産税が安くなるのです。
そのため、家屋を解体して更地にすることで、この特例の対象から外れてしまい、税金が6倍に増えてしまうのです。
これが結果的に日本に空き家が増えた一番の原因です。
空き家を放置することでの問題点
では、空き家を放置することでどんな問題が起こりえるのでしょうか。
以下のような問題が起こると考えられます。
- 景観の悪化
- 不法投棄
- 放火される
- 倒壊による事故
- 管理されていない空き家は税金があがる
順番にみていきます。
空き家放置の問題点①:景観の悪化
空き家を放置することで、「景観の悪化」を引き起こします。
屋根は崩れかけ、雑草が伸び放題の庭の見た目は最悪です。
近所からはとても迷惑な存在として見られます。
空き家放置の問題点②:不法投棄
空き家を放置することで、「不法投棄」されやすくなります。
人が住んでいないことが分かると、夜な夜な不法投棄をする犯罪者が寄ってきます。
一度不法投棄された場所は噂になり、さらに不法投棄が増えていきます。
空き家放置の問題点③:放火される
空き家は「放火される」リスクもあります。
放火により火事を起こすと近隣住民に多大な迷惑をかけることになります。
実際、不動産屋は空き家を手に入れると、放火の危険性からすぐに解体作業を進めます。
空き家放置の問題点④:倒壊による事故
空き家は「倒壊による事故」を引き起こす危険性があります。
特に管理が行き渡らず、放置している空き家はすぐに痛み、気付いた頃にはボロボロになっている場合があります。
事故を引き起こしてからでは遅いのは言うまでもありません。
空き家放置の問題点⑤:管理されていない空き家は税金があがる
そして、「管理されていない空き家は税金があがる」可能性があります。
先程、税金を安くするために解体せず更地にしていると言ったため、これは矛盾しているように思えます。
「空き家」というのが、管理されている空き家なら問題ありません。
問題なのは管理されていない空き家です。
次の章で詳しく解説します。
なぜ、管理されていない空き家を放置することで税金が上がるのか?
管理されていない空き家は「税軽減特例」の対象から外されるからです。
そして、今後「改正空き家対策特措法」でその対象が広がる予定です。
改正空き家対策特措法とは?
「改正空き家対策特措法」とは、2023年6月7日に国会で成立した、空き家対策に関する法律です。
「改正空き家対策特措法」では、以下2つの空き家が定義され、この2つは「税軽減特例」の対象から外されます。
- 特定空き家
- 管理不全空き家
特定空き家
「特定空き家」とは、放置すると倒壊するなどの危険や衛生的に問題のある空き家と定義されます。
つまり、かなり痛みが進んだ空き家で放置することで近隣に多大な迷惑をかけるおそれのある空き家を指します。
「特定空き家」に関しては、改正前の「空き家対策特措法」ですでに定義されていたものです。
管理不全空き家
そして今回の改正で新たに加わったのが、「管理不全空き家」です。
「管理不全空き家」とは、現状倒壊はしないが、放置すると「特定空き家」になる可能性のある空き家のことです。
例えば、窓が割れていたり、外壁が剥がれているような家屋を指します。
今までは、このような空き家でも、「税軽減特例」が適用されていましたが、「改正空き家対策特措法」が施行されると適用外となり、税金が最大6倍になってしまうおそれがあるのです。
なお、「改正空き家対策特措法」は、早くて年内に施行されます。
空き家はなぜ増えるのか?:まとめ
以上、本記事では「空き家はなぜ増えるのか?」その根本的な原因から、空き家を放置することで今後起こりうる問題を解説しました。
また、固定資産税の「税軽減特例」が受けられなくなるケースを列挙すると以下の通りです。
- 更地した場合
- 特定空き家を放置した場合
- 管理不全空き家を放置した場合
空き家は放置すると、どんどん痛みが進んでいきますので早めの対策が重要です。
今後、売却する予定があるなら、「掃除」「修繕」「樹木の剪定」など、早めに動くことをおすすめします。
自分では、手に負えない場合はぜひ当事務所にご相談ください。
不動産に強い行政書士がサポートいたします。