古物商許可とは何か?初めての方にも分かるよう丁寧に解説

  • 古物商許可とは一体何?
  • 古物商許可について詳しく知りたい。

という方に対して、行政書士ができるだけわかりやすく、丁寧に説明していきます。

本記事を読めば古物商許可がどういうものなのか、誰でも理解できると思います。

これから古物商許可取得を検討している方や、古物商許可について興味のある方はぜひご覧ください。

古物商許可とは何か?

一言で説明すると、古物商許可とはビジネスとして「古物」を売買または交換する場合に必要な免許です。

このような行為のことを「古物営業」などと言います。

「古物営業」にあたる取引をする場合は、個人でも、法人でも古物商許可が必要となります。

例えば、法人でいうとリサイクルショップや中古車屋などが挙げられます。

これらを運営している法人は、いずれも古物商許可を取得しています。

また、個人であってもメルカリやヤフオクなどで「古物」をビジネス目的で取引するには古物商許可が必要となります。

法律上の定義ではもう少し堅苦しく規定されていますが、できるだけ簡単に説明すると、古物商許可とはビジネス目的で「古物」を扱うための免許と認識して差し支えありません。

古物とは?

では、先程からちょこちょこ出てくる「古物」とはいったい何なのでしょうか?

これは、古物営業法で以下の定義されています。

  • 一度使用された物品
  • 使用されない物品で使用のために取引されたもの
  • これらの物品に幾分の手入れをしたもの

簡単に言うと、「中古品」だったり、「新品だけど使うために買われたもの」、「上記2つをきれいにしたり、修理したもの」と定義されています。(一部例外なモノもあります。)

繰り返しになりますが、これらに該当する「モノ」をビジネス目的で取引する場合、「古物営業」にあたり、その場合必要な免許が古物商許可なのです。

古物商許可の種類・品目

古物商許可は、古物営業法施行規則で以下13品目に区分されています。

  1. 美術品類
  2. 衣類
  3. 時計・宝飾品類
  4. 自動車
  5. 自動二輪車及び原動機付自転車
  6. 自転車類
  7. 写真機類
  8. 事務機器類
  9. 機械工具類
  10. 道具類
  11. 皮革・ゴム製品類
  12. 書籍
  13. 金券類

古物営業法では、自身が取得している「品目」以外の古物を取り扱うことはできないことになっています。

例えば、「2. 衣類」のみの許可を得ている場合は、「12. 書籍」を取り扱うことはできません。

また、車は「4. 自動車」、おもちゃは「10. 道具類」など文字から容易に想像することができる品目と、「なぜこれがこの品目?」と判断が難しいものがあります。

そのため、実際に申請する際は取り扱う商品がどの種類に当てはまるのかを見極め、その品目で許可取得をする必要があります。

古物商許可が必要ない場合とは?

「古物」を取引する場合でも、ビジネス目的でなければ古物商許可は必要ありません。

具体的には、一般人が自身の不用品をリサイクルショップやメルカリで売る場合です。

この場合、古物商許可は必要ありません。

ただし、転売する目的で「古物」を仕入れた場合は、「古物営業」にあたり、古物商許可が必要です。

これは例え、最終的には転売する目的だが、あたかも自分用として購入する場合にも当てはまります。

判断基準としては、客観的に見て「繰り返し続けている」状態が認められる場合は古物商許可が必要です。

簡単なイメージとしては、例えばメルカリのアカウントを見たときに「個人だけど、業者っぽいよね。」と思われるような場合はほぼ古物商許可が必要な場合が多いです。

古物商許可の取り方・流れ

古物商許可は、申請書と必要書類をそろえ、管轄の警察署に申請を出します。

大まかな流れとしては以下の通り。

  1. 申請書と書類を集める
  2. 不備が無いか事前に警察署に相談する
  3. 警察署窓口で申請を出す
  4. 許可がおりたら窓口に許可証を取りに行く

どんな書類をそろえたら良いか、どこに申請を出せば良いか等を以下で説明します。

古物商許可申請に必要な書類

まず、個人の場合と法人の場合でそろえる書類が多少異なります。

個人・法人で必須な書類

個人、法人で共通な書類は以下の通り。

  • 申請書
  • 住民票の写し
  • 身分証明書
  • 誓約書
  • 略歴書

※ 法人の場合、申請書以外は役員全員分が必要になります。

申請書

申請書」は、都道府県により多少異なる場合がありますので、その都道府県のフォーマットを取り寄せることをおすすめします。

住民票の写し

住民票の写し」は住所地の役所で取得できます。

注意としては、本籍が記載のもので、外国人の方は国籍等が記載されたものをとる必要があることです。

身分証明書

身分証明書」は普段、本人確認で使う「運転免許証等」ではありません。

この書類は、本籍地のある役所で取ることができます。

自分の本籍地がどこか分からない場合、先に住民票を取得して確認することをおすすめします。

誓約書

誓約書」は自身が古物商許可を取得できる人であることを自分で誓う書類です。

例えば、一定の犯罪を犯している人は免許を取得できません。

誓約書もフォーマットがありますので、それに従って書いていくことになります。

略歴書

略歴書」とは、申請日から数えて、最近5年間の経歴を書く書類です。

例え、無職の期間があっても空白なく記載する必要があります。

法人のみ必須な書類

法人の場合、以下の書類も必須です。

  • 法人の登記事項証明書(登記簿の謄本)
  • 法人の定款
法人の登記事項証明書(登記簿の謄本)

法人の登記事項証明書」とは、「会社謄本」などと呼ばれる書類で、会社の情報が記載された証明書です。

取得場所は法務局になります。

登記事項証明書というと何種類かありますが、その中でも「履歴事項全部証明書」を取得しておけば間違いありません。

法人の定款

法人の定款」とは、会社設立をする際に必ず作成する書類で、簡単に言うと、会社の決まり事を記載したルールブックみたいなものです。

なお、定款内に「古物営業を営む」旨の記載がない場合、許可がおりない場合があるので注意が必要です。

都道府県によっては必要な書類

以下は、都道府県によっては必要な書類です。

  • URLの使用権限があることを疎明する資料
  • 事務所を使用する権限があることを証明する資料(賃貸借契約書・使用承諾書・不動産の登記簿謄本・固定資産納税通知書)
  • 事務所の見取り図
  • 事務所までの案内図
  • 顔写真
  • 住所歴

上記1つ目の「URLの使用権限があることを疎明する資料」はほとんどの都道府県で必要な書類です。

その他どの書類が必要でどの書類が不要かは、事前に警察署へ確認すると良いでしょう。

申請場所はどこ?

申請場所は「主たる営業所の所在地を管轄する警察署」です。

つまり、最寄りの警察署です。

警察署内のどこが窓口かは、都道府県によって異なります。

例えば、以下のような課や係が窓口となります。

  • 神奈川県:生活安全(第一)課
  • 東京都:防犯係

書類がそろったら、担当窓口に電話で問い合わせの上、事前相談かねて警察署に行きます。

書類に不備がなければ、その場で受理してくれる場合もあります。

古物商許可申請にかかる費用

古物商許可申請にかかる費用は、新規許可申請であれば19,000円です。

支払いは現金ではなく、都道府県の「収入証紙」で申請時に支払うことになります。

古物商許可証を取得できるまでの期間

古物商許可証を取得できるまでの期間は「約40日」です。

書類集めや作成に時間がかかったり、事前相談の日程調整を考えると営業日開始の約2ヶ月前には動き始めると安心です。

古物商許可を取得するメリット

古物商許可を取得するメリットは何かですが、メリット・デメリット以前に取らないとまずいのが古物商許可です。

具体的には、古物商許可を取得せず古物営業をすることは「無許可営業」にあたり、犯罪です。

違反すると「懲役3年以下または100万円以下の罰金もしくは併科」と結構重い罰則があります。

そもそも、「車を運転するのに運転免許を取るメリットはありますか?」と聞くのと同じです。

メルカリやヤフオクなどで一般人でも気軽に古物の取引ができるようになっただけに、気づかず違反している場合も考えられます。

また、今後取り締まりが厳しくなる場合も予想されます。

そのため、古物商許可を取らずに古物営業を行うのはデメリットでしかありません。

古物商許可に関するよくある質問

以下、古物商許可に関するよくある質問を掲載します。

古物商許可はメルカリやAmazonなどのネットせどりでも必要か?

ネットでの売買でも、「古物」をビジネス目的で取引すると、古物営業にあたり、古物商許可の取得が必要になります。

誰でも取得できますか?

一定の犯罪などにより、「欠格事由」にあたる場合は許可取得ができません。

賃貸物件を営業所として申請する場合、使用承諾書は必要ですか?

都道府県によっては申請で「使用承諾書」が必要ない場合があります。

例えば、神奈川県は「使用承諾書」が必要書類ではありません。

ただ、これはあくまで手続き上不要なだけで、大家さんに許可をもらっておかないと賃貸借契約違反になり後々トラブルになります。

古物商許可とは何か?:まとめ

以上、「古物商許可とは何か」について解説しました。

まとめると次のような感じです。

  • 「古物営業」にあたる場合は古物商許可が必要
  • 管轄の警察署で申請
  • 費用は19,000円・申請期間は約40日

これから古物商許可を申請する人はぜひこの記事を参考にチャレンジしてみてください。

また、古物商許可がない状態で、すでに古物営業に該当する行為をしている場合は、急いで申請することをおすすめします。

▼ 自力での申請が難しいという方には、当事務所が代わって申請することができますので、ぜひご相談ください。

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