相続放棄をするデメリットを現役行政書士がわかりやすく解説!

こんにちは。神奈川県秦野市の行政書士 河野翔です。

「相続放棄」にはいくつかのデメリットがあります。

本記事では、相続放棄をしようかどうか迷っている方に向けて「相続放棄のデメリット」について現役行政書士ができる限りわかりやすく解説します。

あえてわかりやすくするため、極力専門用語の使用は控えてあります。

本記事を一読いただければ、どなたでも相続放棄をする上でのデメリットがわかり、スムーズにその後の行動に移せると思います。

なお、デメリットのある相続放棄の代わりになる方法も提案していますので、最後までお付き合いください。

相続放棄のデメリット

ざっと思いつくところでは相続放棄のデメリットは以下の通りです。

  • 費用・時間・手間がかかる
  • やり直しや撤回ができない
  • 生命保険や死亡保険の非課税枠が利用できない
  • 相続人の子どもに相続できなくなる
  • 相続人が変わってしまう可能性がある

順番に詳しく解説します。

相続放棄のデメリット①:費用・時間・手間がかかる

まず、最初に相続放棄は費用・時間・手間がかかるというデメリットがあります。

具体的には、相続放棄は家庭裁判所に「相続放棄申述書」という正式な書類を提出して相続人自ら相続放棄することを宣言する必要があります。

この手続きは自分で行うこともできますが、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが普通です。

これにより、数万円以上の費用がかかります。

また家庭裁判所に書類を提出して申述書が完成するまで1ヶ月程度かかるため、時間を要してしまうというデメリットがあります。

相続放棄のデメリット②:やり直しや撤回ができない

一度相続放棄をしてしまうと、やり直しや撤回ができないと言うのも、デメリットの1つです。

先ほどお話しした通り、家庭裁判所へ相続放棄の申し立てをしなければならないのですが、「強要されて相続放棄をした」など特別な場合以外は基本的に撤回することができません。

つまり一度相続放棄をしてしまうとやり直しができないのです。

相続放棄のデメリット③:生命保険や死亡保険の非課税枠が利用できない

生命保険や死亡保険の非課税枠が利用できなくなるのも、相続放棄のデメリットの1つです。

生命保険や死亡保険には非課税枠があり、相続人1人あたり500万円の控除が受けられます。

しかし、相続放棄してしまうと、「はじめから相続人でなかったものとみなされる」ため、非課税枠のカウントから外されてしまいます。

そのため、相続放棄しなかったときと比べて多くの税金を払うこととなってしまいます。

相続放棄のデメリット④:相続人の子どもに相続できなくなる

相続放棄をしてしまうと、相続放棄をした人の子どもが相続できなくなってしまうというデメリットがあります。

民法では「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言うシステムがあります。

簡単に説明すると、これは被相続人が亡くなるよりも前に相続人が死亡していた場合、その子どもが代わりに相続すると言うものです。

しかし相続放棄をしてしまった場合は、その人は「はじめから相続人でなかったものとみなされる」ため、その権利が子どもに移らなくなってしまうのです。

相続放棄のデメリット⑤:相続人が変わってしまう可能性がある

相続放棄をしたことによって、相続人が変わってしまう可能性がでてくるデメリットもあります。

例えば、ある夫婦(A・B)に子ども(C)が1人いたとします。

夫(A)がなくなってしまい、妻(B)と子ども(C)が相続人となりますが、子ども(C)は自分の母(B)のことを思って、「自分(C)は相続放棄をして、すべての財産を母(B)に相続させる」ことを考えたとします。

もし、妻(B)に兄弟(D・E・F)がいた場合、本来、妻(B)と子ども(C)のみが相続人だったのにもかかわらず、子ども(C)の相続放棄により相続順位が移動し、兄弟(D・E・F)も相続人となってしまいます。

相続放棄をすることで、もともと、子ども(C)が描いていた通りにならなくなってしまうのです。

相続放棄の代わりにできる手段

それでは相続放棄の代わりとなる手段はないのでしょうか?

実務でよく使われる方法をご紹介します。

それは「遺産分割協議」と言う協議で、自分は「相続分を受け取らない」とし、遺産分割協議書という書面に署名捺印をするのです。

これは法律上の相続放棄とは異なり、あくまで自分の相続分を他の相続人に相続させると言う意思を示したものです。

これにより、先ほど紹介したデメリットを気にせず、思い通りに相続手続きをすることができます。

相続放棄のデメリット:まとめ

以上、今回は相続放棄によるデメリットについてわかりやすく解説しました。

相続放棄は何も考えずにしてしまうと、意図せず様々な問題が起きてしまう可能性があるため、よく検討して行う必要があります。

もし、相続人同士で故人の遺産を受け取らせたい人がいる場合は、「遺産分割協議書」による方法がおすすめです。

なお、遺産分割協議書の作成は、行政書士の専門分野でもありますので、相続放棄で困った場合は弊所にぜひご相談ください。

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