- 古物商許可は何種類あるの?
- 古物商許可の13品目について詳しく知りたい。
- どの品目で古物商許可申請を出せばいいか分からない。
そのような方を対象に、行政書士が古物商許可の全13品目について解説します。
具体的な例を挙げてご説明しますのでかなりイメージしやすいと思います。
本記事をお読みいただければ、誰でも自身の取り扱いたい物品がどの区分に属するのか分かるようになります。
これから古物商許可申請を検討されている方はぜひお読みください。
古物商許可の種類・品目
まず「古物商許可は何種類あるの?」という疑問ですが、結論から言うと全部で「13種類」あります。
古物商許可は、古物営業法施行規則 第2条(古物の区分)で以下13品目に区分されています。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車及び原動機付自転車
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
古物商許可を新規で申請する場合は、この中で1つメインの区分を決めます。
それとは別に取り扱う予定の物品がある場合は、該当する区分を複数選び申請をだします。
例えば、中古車屋をはじめるなら、メインの区分が「04. 自動車」になります。そして、一緒にバイクや自転車も取り扱う予定があるのなら、「05. 自動二輪車及び原動機付自転車」と「06. 自転車類」の区分もチェックして申請します。
そのため、申請を出す際に、自身が取り扱う物品がどの区分に属するのかを正確に知る必要があります。
以下、各区分について、物品の例を一覧にして詳しくみていきます。
01. 美術品類
1つ目は、「01. 美術品類」の区分です。
分類の基準は「美術的価値を有する物品」と規定されています。
つまり、そのものが美術品として価値があるものはこの区分に分類されます。
施行規則では「書画、彫刻、工芸品等」が例としてあがっています。
以下、物品の例を見ても分かるのですが、一般的に「美術品」と認識される物品は「01. 美術品類」の区分で大丈夫でしょう。
分類の基準
美術的価値を有する物品
施行規則での例示
書画、彫刻、工芸品等
物品の例
書画 / 絵画 / 版画 / 彫刻品 / 骨董品 / アンティーク / 登録日本刀 / 登録火縄銃
02. 衣類
続いて「02. 衣類」です。
分類の基準は「繊維製品、革製品等であって、身にまとうもの」と規定されており、施行規則の例示では「和服類、洋服類、その他の衣料品」とされています。
ここから読み取ると、イメージとしては「服」が最も近いでしょう。
ただ、注意しなければならないのは「服」以外の布類全般もこの区分に分類されるということです。
例えば、敷物や布団、帽子や旗などの物品も「02. 衣類」に当てはまります。
分類の基準
繊維製品、革製品等であって、身にまとうもの
施行規則での例示
和服類、洋服類、その他の衣料品
物品の例
和服 / 洋服 / 着物 / 古着 / 子供服 / 敷物 / テーブル掛け / 布団 / 帽子 / 旗
03. 時計・宝飾品類
「03. 時計・宝飾品類」の区分は、「時計類」と「身につけられる物品」が当てはまります。
施行規則では「時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等」が例示されており、そこから派生する万歩計やコンタクトレンズ、オルゴールなどが物品の例として考えられます。
分類の基準
主として、時計としての機能を有する物品、眼鏡(サングラスを含む)、宝石、貴金属その他そのものが外見的に有する美的特徴や希少性によって嗜好され、使用される飾りもの
施行規則での例示
時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等
物品の例
掛時計 / 腕時計 / 置時計 / 万歩計 / 眼鏡 / コンタクトレンズ / 貴金属 / アクセサリー / 宝石 / 指輪 / ネックレス / オルゴール / 模造小判
04. 自動車
続いて、「04. 自動車」です。
文字通りで、分類の基準では、「自動車及び自動車の一部品として使用される物品」とされており、施行規則での例示でも、「自動車・その部分品を含む。」とされています。
つまり、「自動車の車体」と「それに関わる物品」という認識で大丈夫です。
例えば、車のパーツやカーナビなどが挙げられます。
分類の基準
自動車及び自動車の一部品として使用される物品
施行規則での例示
自動車・その部分品を含む。
物品の例
自動車本体 / バンパー / サイドミラー / ヘッドライト / タイヤ / ワイパー / マフラー / ハンドル / カーナビ
05. 自動二輪車及び原動機付自転車
「05. 自動二輪車及び原動機付自転車」は、前の「04. 自動車」のバイクバージョンと思って大丈夫です。
「バイク車体」と「それに関わる物品」です。
分類の基準
自動二輪車、原動機付自転車及びこれらの一部品として使用される物品
施行規則での例示
自動二輪車及び原動機付自転車・これらの部分品を含む。
物品の例
バイク本体 / エンジン / インジェクター / キャブレター / サイドミラー / シート / タイヤ / マフラー
06. 自転車類
「06. 自転車類」も同じく、「自転車本体」と「それに関わる物品」という認識で大丈夫です。
自転車本体以外にカバーや空気入れも含まれることに注意してください。
分類の基準
自転車及び自転車の一部品として使用される物品
施行規則での例示
自転車類・その部分品を含む。
物品の例
自転車本体 / カゴ / 自転車用ライト / キャリアー / カバー / 空気入れ
07. 写真機類
「07. 写真機類」はプリズムやレンズ、反射鏡等を組み合わせて作ったカメラや顕微鏡などが分類されます。
もちろんレンズや望遠鏡など、レンズを通して「覗く物品」は「07. 写真機類」に分類されます。
分類の基準
プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光機等
施行規則での例示
写真機、光学器等
物品の例
カメラ / ビデオカメラ / レンズ / 望遠鏡 / 双眼鏡 / 顕微鏡 / 測量機器 / 光学機器
08. 事務機器類
「08. 事務機器類」は、一言で「事務用品」です。
パソコンやコピー機、シュレッダーなど、事務所で使用する物品が該当します。
なお、電化製品か手動かはここでは問われません。
分類の基準
主として、計算、記録、連絡等の事務に用いるために使用される機械及び器具(電気により駆動するか、人力により駆動するかを問わない)
施行規則での例示
レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等
物品の例
レジスター / パソコン / ワープロ / タイプライター / コピー機 / ファックス / シュレッダー / 計算機
09. 機械工具類
「09. 機械工具類」は「機械」や「工具類」が当てはまります。ただし、「03. 時計・宝飾品類」「04. 自動車」「05. 自動二輪車及び原動機付自転車」「06. 自転車類」「07. 写真機類」「08. 事務機器類」は除きます。
施行規則での例示によると、「電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等」がここに該当します。
分類の基準
生産、作業、修理のために使用される機械及び器具のうち、上記03~08に該当しない物品
施行規則での例示
電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等
物品の例
工作機械 / 土木機械 / 医療機器類 / 化学機械 / 家庭電化製品 / 電話機 / 家庭用ゲーム機 / 工具
10. 道具類
「10. 道具類」に分類されるのは他のどの区分にも当てはまらない物品です。
つまり、「その他」というイメージです。
例を挙げたらキリがないですが、代表的なものとしては、家具やおもちゃなどが挙げられます。
分類の基準
他の分類に該当しない物品
施行規則での例示
家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等
物品の例
家具 / じゅう器 / スポーツ用品 / 楽器 / レコード / CD / DVD / 玩具・おもちゃ / ゲームソフト / トレーディングカード / 日用雑貨
11. 皮革・ゴム製品類
「11. 皮革・ゴム製品類」は革製品やゴム製品などです。
分類の基準としては「主として、皮革又はゴムから作られている物品」とされており、ビニール製の物品もここに含まれます。
代表的なものはカバンや靴です。
分類の基準
主として、皮革又はゴムから作られている物品
施行規則での例示
カバン、靴等
物品の例
カバン・バッグ / 靴 / 毛皮類 / ビニール製やレザー製の化学製品
12. 書籍
「12. 書籍」は分類の基準や、施行規則での例示はありませんが、文字通り「本」が当てはまります。
雑誌もマンガもこの区分に分類されます。
分類の基準
なし
施行規則での例示
なし
物品の例
本 / 雑誌 / マンガ
13. 金券類
「13. 金券類」は商品券や乗車券やコンサートチケットなどが当てはまります。
「お金の代わりとして使用できる券」はこの区分に分類されます。
分類の基準
なし
施行規則での例示
商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令第1条各号に規定する証票その他の物をいう。
物品の例
商品券 / 郵便切手 / 収入印紙 / 図書カード / クオカード / テレホンカード / 株主優待券 / ビール券 / オレンジカード / 乗車券 / 航空券 / 回数券 / 入場券 / コンサートチケット
古物に該当しないもの
ここまで、13種類の区分を見てきましたが、そもそも古物に当てはまらない物品もあります。
それが以下の通りです。
- 盗難の可能性が低いもの
- 消費して無くなるもの
- 本来の使用用途や性質を変化させたもの
- 再利用しないで廃棄するもの
- アクセサリーではない貴金属
- 実体がないもの
詳しくみていきます。
盗難の可能性が低いもの
「盗難の可能性が低いもの」は古物に該当しません。
というのも、古物営業法の目的が「盗難品が出回ることを防止する法律」のためです。
物理的に重いものや、そもそも固定されていて容易に動かすことができないようなものは、盗難の可能性が低く古物に分類されません。
例としては以下のようなものが挙げられます。
- 鉄道車両
- 総トン数20トン以上の船舶
- 航空機
- 重量1トンを超える機械で、土地や建造物にコンクリートや溶接等で固定され、簡単に取り外せないもの
- 船舶を除く重量が5トンを超える機械で、自走及びけん引して動かせないもの
- 大きな庭石
- 石灯籠
消費して無くなるもの
消費して無くなくなってしまうものは、古物ではありません。
例としては以下のようなものです。
- 食品
- 酒
- 薬品
- サプリメント
- 化粧品
本来の使用用途や性質を変化させたもの
何かをリメイクして別のものに作り変えた場合などは古物ではありません。
例えば次のようなものです。
- ヨットの帆で作ったバック
- 着物をリメイクしたティッシュケース
再利用しないで廃棄するもの
ごみなど、捨てるものは古物に該当しません。
- 一般ごみ
- 廃棄物
原材料になるもの
リサイクルして原材料になるようなものも古物に該当しません。
例えば以下のようなものです。
- 鉄くず
- 糸くず
- 空き缶
- 古新聞
- 紙パック
- 銅線のコイル
アクセサリーではない貴金属
投資目的など、アクセサリー以外の貴金属は古物に該当しません。
- 金塊
- 金貨
- インゴット
実体がないもの
オンライン上のものなど、実態がない金券類は古物に該当しません。
- 電子チケット
- オンラインギフト券
古物商許可の品目に関するよくある質問
ここからは、古物商許可の品目に関するよくある質問にお答えします。
「主として取り扱おうとする古物の区分」はどれにすべきか?
「主として取り扱おうとする古物の区分」はつまり、自分がメインとして扱おうと思っている商材の区分にします。
例えば、CD・DVDも扱う古本屋であれば、「主として取り扱おうとする古物の区分」は「12. 書籍」で、それと一緒に「10. 道具類」を申請します。
なお、「主として取り扱おうとする古物の区分」を古物商のプレートに記載することとなります。
取り扱い品目を多めに申請してもいいの?
取り扱い品目はいくつでも申請することができます。
極端な話、「13品目」すべてにチェックをして申請を出すことも可能です。
ですが、それはおすすめしません。
なぜなら、本当に「13品目」すべて取り扱う予定があるのなら良いのですが、そうでなければ虚偽申請になってしまうからです。
担当の警察官は、このような申請がされた場合、「その古物を取り扱う経験があるのか?」「それに関する知識があるのか?」「設備がるのか?」など、申請内容に虚偽がないか質問してきます。
質問にしっかり答えられないと虚偽申請を疑われ、そもそも申請に通らない場合も考えられます。
また、市場に盗難品が出回った場合、警察から捜査協力を求められる可能性があります。
その場合、本来全く関係のない区分の捜査に協力しなければいけない可能性がでてきます。
そのため、取り扱い品目を多めに申請するのはおすすめできません。
実際に取り扱う物品が増えた段階で区分の追加をすることをおすすめします。
古物商許可は何種類あるの?:まとめ
以上、古物商許可の区分、全13品目について解説しました。
今回お伝えした、「分類の基準」や「物品の例」などをある程度知っていれば、取り扱いたい商材がどの区分に当てはまるか知ることは容易だと思います。
もし、忘れてしまったらぜひこのページに戻って確認していただければ幸いです。
▼ 自力での申請が難しいという方には、当事務所が代わって申請することができますので、ぜひご相談ください。