- 風営法の実査とは何?
- 実査の流れや警察官の内容を知りたい。
- 実査の注意点や留意すべき点を知りたい。
風営法の風俗営業許可を取得する途中段階で「実査」という項目があります。
簡単に説明すると、実査とは警察官が店舗に訪れ、部屋の構造等をチェックすることです。
実査が上手くいかないと、風俗営業許可は下りません。
本記事では、風俗営業許可を専門とする神奈川県の行政書士が「実査」についてわかりやすく解説します。
一読いただければ、実査の具体的な流れや、内容を知ることができます。
ご自身で風俗営業許可取得に挑戦しようと思っている方は是非お読みください。
風営法の実査とは?【概要】
実査は「実地調査」の略で読み方は「じっさ」です。警察用語ですね。
何をするかと言うと、「所轄警察署の担当官」と都「道府県警察本部の担当官」が店舗に訪れ、部屋の構造等が申請書・図面と一致しているかをチェックすることです。(地域によっては風俗浄化協会の担当官が来ます。)
目的は申請者が虚偽の申請をしていないかを確認するためです。
そのため、かなり細かい部分までチェックされます。
実査当日のチェック内容と流れ
基本的に「風営法の規定」と「申請書・図面の記載内容」は全てチェックされると考えてください。
具体的に担当官がチェックする内容は以下の項目です。
- 内容①:店舗の寸法
- 内容②:見通し
- 内容③:二重扉の鍵の有無
- 内容④:店舗外から内側が見えないか
- 内容⑤:照明のスイッチ
- 内容⑥:音響・照明の種類
- 内容⑦:照度(明るさ)
- 内容⑧:イス・テーブルの種類・寸法
以下詳しく解説します。
内容①:店舗の寸法
店舗の寸法は、担当官が2人一組になり、「レーザー距離計」と「スチールメジャー(コンベックス)」を使用して壁と壁の間の距離を測っていきます。
その際、面積計算をするために図面に記載した寸法は全てチェックされます。
また、店舗内の縦と横の最大寸法も必ず見られます。
担当官の判断にもよりますが、図面±5cmくらいの誤差は許容してくれます。
内容②:見通し
風営法では、「見通しを妨げるもの」を店舗内に配置してはいけないことになっています。
具体的には、以下のものはNGです。
- 高さ約1m以上の仕切り
- 壁の構造による死角
これらが無いかを、スチールメジャーや目視でチェックしていきます。
内容③:二重扉の鍵の有無
風営法の決まりで「出入口の内側に二重扉を設置する場合、二重扉には鍵を設置してはいけない」というルールがあります。(出入口の扉は鍵をつけて大丈夫です)
担当官は二重扉の鍵の有無をチェックし、写真撮影します。
内容④:店舗外から内側が見えないか
風俗営業を行う店舗では、店舗外から店内が見えてはいけません。
そのため、外から中が見えないかも目視でチェックされます。
内容⑤:照明のスイッチ
「調光器(スライダックス)」と呼ばれる、明るさを調整するツマミのついた照明スイッチは使用することができません。
そのため、スイッチパネルに調光器が無いかチェックされます。
内容⑥:音響・照明の種類
音響や照明の種類が図面に記載の通りかチェックされます。
全ての照明のスイッチをオン・オフし、問題なく点灯するか、配置や個数は図面記載の通りかチェックされます。
内容⑦:照度(明るさ)
店内の照度(明るさ)をチェックされます。
キャバクラ店の場合5ルクス、パチンコ店の場合10ルクス以上の明るさが必要です。
実際の店舗が基準値に達しているかどうかを客室のテーブルに「照度計」という機器を置き、計測します。
計測箇所は数箇所で、全ての箇所で基準値を上回る必要があります。
内容⑧:イス・テーブルの種類・寸法
最後に、イスやテーブルの配置や個数、種類、寸法が図面通りかチェックされます。
もし、図面提出から実査日までの間に配置を変えた場合は、図面を差し替える旨を申し出れば問題ありません。
なお、実査以降は配置を勝手に変えることはできません。
実査に要する時間
上記流れで実査は進んでいきます。
実査に要する所要時間としては、スムーズにいけば「1時間」程度です。
実査当日の注意点や留意すべき点
実査当日の注意点や留意すべき点は以下の通りです。
- 注意点①:道具を持参する
- 注意点②:開始時刻30分前に店舗に行く
- 注意点③:測る箇所を想定しておく
- 注意点④:愛想
注意点①:道具を持参する
必要な道具は持参した方が良いです。
もちろん、実査で使用する道具は担当官自身で用意しますが、不足のトラブルや再確認したい箇所が現地で出てくるかもしれません。
そのような際にすぐに対応できるよう、以下の道具は最低限用意することをおすすめします。
- レーザー距離計
- スチールメジャー(コンベックス)
- バインダー
- 筆記用具
- 申請用・図面の控え
注意点②:開始時刻30分前に店舗に行く
実査開始時刻30分前には店舗に到着しておいた方が良いです。
図面と店舗の状況が一致しているかの最終確認ができるからです。
また、担当官は開始時刻よりだいぶ早く来ることがあるので、待たせない方が印象は良くなり、その後の実査がスムーズに進みます。
注意点③:測る箇所を想定しておく
担当官が測る箇所を予め想定しておくと実査がスムーズに進みます。
担当官は、図面の寸法をみて測る箇所を選びます。そこで、どの箇所から測ったかすぐに答えられるようにしておきましょう。
事前準備の段階で予め、レーザーを当てる箇所にシールで目印をつけておくととても親切です。
注意点④:愛想
最後に「愛想」は良くしておくことを強くおすすめします。
「何言ってるんだ」と思うかもしれませんが、実査をトラブルなく進めるためにはこれが一番大事だと思います。
やはり、担当官も人なのでしっかり挨拶をしたり、愛想が良い方が気持ちよく、良い雰囲気で実査が進みます。
また、和やかな雰囲気の場合、担当官の判断にゆだねられているような項目も柔軟に対応してもらえます。
くれぐれも、無愛想だったり高圧的な態度でのぞまないよう注意しましょう。
風営法の実査とは何?:まとめ
以上、本記事では風営法の実査とは何かについて、流れや警察官のチェック内容をわかりやすく解説しました。
最初は、緊張するかもしれませんが、担当官の指示に素直に従えば問題ありません。
万が一、寸法違いや、イス、テーブルの配置が変わっている場合などは図面差し替えで対応できます。
一方、「見通しが悪い」「調光器がある」「二重扉の鍵」「照度不足」など、構造を変えなければどうしようも無い部分が実査当日発覚した場合は、再度実査のやり直しも有りえますので事前にチェックしておきましょう。
どうしても不安な場合は風俗営業許可専門の行政書士に依頼することをおすすめします。