【風営法】風俗営業許可申請の流れを行政書士がわかりやすく解説

キャバクラやパチンコ屋を開業するには「風俗営業許可」を受ける必要があります。

初めて風俗営業許可を受けようと考えている方は、申請から取得までどんな流れで進んでいくか気になりますよね。

本記事では、神奈川県の行政書士が風俗営業許可の申請から取得までの流れを初心者にも理解できるよう、可能な限りわかりやすく解説します。

風俗営業許可申請に関して、ざっくりとした流れを知りたい方は最後までお付き合いください。

風俗営業許可申請の流れ

風俗営業許可申請の流れは大きく分けて以下の通りです。

  • 流れ①:許可が受けられる場所かどうかの調査
  • 流れ②:許可を受けられる人かどうかの確認
  • 流れ③:内装工事
  • 流れ④:飲食店の営業許可の取得
  • 流れ⑤:必要書類集め
  • 流れ⑥:店舗の測量
  • 流れ⑦:図面作成
  • 流れ⑧:申請書の記載
  • 流れ⑨:警察署で申請
  • 流れ⑩:実査(実地調査)
  • 流れ⑪:許可証の受取り

順番に詳しく解説します。

流れ①:許可が受けられる場所かどうかの調査

まず、風俗営業許可が受けられる場所かどうかの調査を行います。

風営法では以下2つの視点で許可が受けられる場所が決まっています。

  • 用途地域
  • 保護対象施設の有無

わかりやすく解説します。

用途地域

一つ目は「用途地域」です。

用途地域とは、簡単に説明すると地域ごとに建てられる建物をさだめたルールです。

原則、住居系の地域では風俗営業許可が下りません。

つまり、「住宅地」では風俗営業許可が下りない可能性が高いです。(例外もあり)

まずは、この用途地域が適合しているかどうかを役所で調査します。

保護対象施設の有無

また、保護対象施設が周辺に無いか?というのも重要です。

保護対象施設とは、「幼稚園」「学校」「病院」などのことです。

店舗の周辺に保護対象施設がある場合、許可は下りません。

そのため、保護対象施設が周辺に無いかどうかを役所や保健所、さらには現地周辺を徒歩で確認します。

上記、どちらの要件も満たさないと許可は絶対に下りません。

そのため、まずはじめに開業予定の場所に問題が無いかを確認します。

流れ②:許可を受けられる人かどうかの確認

続いて、申請者、管理者が許可を受けられる人かどうかの確認を行います。

風営法には細かな規定がありますが、下記であれば問題ないでしょう。

  • 未成年ではない
  • 犯罪を犯していない

こちらも、要件を満たしていないと許可が下りないため、初期段階で確認すべき事項です。

流れ③:内装工事

流れ①、②に問題が無ければ、内装工事を行います。

内装に関しても細かなルールがあるため、風営法の関連法令等を読んで、これらに適合するよう内装工事を行います。

代表的なルールは以下の通り。

  • 見通しを妨げる構造にしない
  • 調光器や照明に気をつける
  • 二重扉に鍵を設置しない

見通しを妨げる構造にしない

風営法では、見通しを妨げる設備を設置してはいけないルールになっています。

そのため、「壁の構造」や「約1m以上の高さのつい立て」を設置しないように注意してください。

なお、建物の構造上の柱は問題ありません。

調光器や照明に気をつける

照明類にも細かなルールがあります。

暗すぎるのはダメで、5ルクス以上の明るさが必要です。

なお、5ルクスというと大体、新聞の活字がギリギリ読めるくらいの明るさなのでかなり暗いです。

そして、ダイヤルやレバーで明るさを調節できる「調光器(スライダックス)」と呼ばれるスイッチが設置されていると許可が下りません。

理由は、照明の明るさを5ルクス未満に調節できてしまうからです。

二重扉に鍵を設置しない

お客様用の出入口の内側にもう一枚扉を設置する場合は、内側の扉には鍵を設置してはいけません。

理由は、摘発逃れを防止するためです。

なお、外側の扉に鍵を設置するのは問題ありません。

流れ④:飲食店の営業許可の取得

飲食物を提供する場合は、飲食店の営業許可の取得が必要です。

飲食店の営業許可は店舗の所在地を管轄する保健所で取得します。

なお、飲食店の営業許可が下りる前でも、飲食店の営業許可の申請時にもらう「受領証」を添付することで、風俗営業許可の申請は可能です。(後日、許可証を添付し直します。)

流れ⑤:必要書類集め

並行して必要書類を集めます。

個人の方が用意しなければ書類は以下の通り。

  • 住民票の写し
  • 身分証明書
  • 証明写真
  • 建物の謄本

住民票の写しや、証明写真は直ぐに手に入ると思いますが、ちょっと厄介なのが「身分証明書」です。

身分証明書は運転免許証等ではなく、役所があなたの身分を証明する公的書類です。

身分証明書は本籍地の役所でのみ発行が可能なため、本籍地が住所地と離れている場合、取得に手間と時間がかかります。

そのため、身分証明書の取得は必要があれば先に着手します。

また、建物の謄本は最寄りの法務局で取得します。

流れ⑥:店舗の測量

続いて、店舗の測量を行います。

測量はレーザー距離計やスチールメジャーを使って、「全ての壁」、「イスやテーブルの位置や高さ」を測っていきます。

後述しますが、申請の過程で警察署の担当官が現地をチェックする「実地調査」があるため、ミリ単位で測量をしていきます。

実地調査時に誤差が大き過ぎることが判明すると申請が通りません。

流れ⑦:図面作成

店舗の測量結果を元に、パソコンで図面を作成します。

風営法には、独特なルールがあるため、建築図面をそのまま使用することはできません。

また、建築図面と実際の店舗とは寸法に多少の誤差があるため、測量結果の寸法を優先して図面を作成します。

流れ⑧:申請書等の記載

都道府県の公安委員会のホームページから申請書等をダウンロードし、記載していきます。

必要書類や図面作成の際に計算した店舗の面積を記載していきます。

流れ⑨:警察署で申請

図面と申請書が出来上がったら、必要書類等を添えて申請します。

申請窓口は、店舗の所在地を管轄する警察署の「生活安全課」です。

警察署は基本的に、電話でアポをとってから向かいます。

突然行っても対応してもらえない場合があるので、事前に電話で「風俗営業許可の申請をしたい」旨を連絡します。

申請は、その場で担当官が申請書類等に不備が無いか一通りチェックした上で、問題が無ければ申請書に24,000円の証紙を貼って申請します。

後日、図面や書類に訂正すべき箇所が見つかれば、担当官より訂正するよう連絡が入ります。また、そのタイミングで「実地調査」の日程調整がなされます。

流れ⑩:実査(実地調査)

実査(実地調査)とは、担当官や浄化協会の担当者が店舗を訪れ、申請者立会のもと店舗の現況と申請内容とが異ならないかを確認します。

担当官等はレーザー距離計を使って寸法を計測します。

ここで、図面と実際の寸法が異なる場合は、訂正を求められますのでそれに従います。

実査に関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

風営法の実査とは何?流れや警察官のチェック内容をわかりやすく解説

流れ⑪:許可証の受取り

処理が順調に進めば、申請から土日祝日を除いて「55日」で許可が下ります。

許可が下りると、担当官より連絡が入るので、許可証を受け取りに警察署に行きます。

許可証を受け取ったら、問題なく風俗営業が開始できます。

【風営法】風俗営業許可申請の流れ:まとめ

以上、風俗営業許可申請の流れをできるだけわかりやすく解説しました。

まとめると、次の通り。

  • 流れ①:許可が受けられる場所かどうかの調査
  • 流れ②:許可を受けられる人かどうかの確認
  • 流れ③:内装工事
  • 流れ④:飲食店の営業許可の取得
  • 流れ⑤:必要書類集め
  • 流れ⑥:店舗の測量
  • 流れ⑦:図面作成
  • 流れ⑧:申請書の記載
  • 流れ⑨:警察署で申請
  • 流れ⑩:実査(実地調査)
  • 流れ⑪:許可証の受取り

なお、ケースバイケースで必要書類が異なります。

それに伴い流れも若干変わりますので事前に確認するとスムーズに手続きが進みます。

風俗営業許可申請は他の申請と比べ難しい部類に入りますので、申請をお考えの方は、専門の行政書士に相談することをおすすめします。