風俗営業許可の申請を出そうと思ったときに自分で出すか、プロである行政書士にお願いすべきか迷いますよね。
自分で申請すれば申請手数料の24,000円だけで済むのに、行政書士に依頼すると約25万円前後の費用がかかります。
営業っぽくなってしまい申し訳ありませんが、「時間にかなり余裕ある」や「勉強が好き」などよっぽどな事がない限りは、行政書士に依頼することをおすすめします。
本記事では、「風俗営業許可の申請をプロである行政書士にお願いすべき理由」を神奈川県の行政書士が解説します。
一読頂ければ、
- 風俗営業許可がどれだけ大変なのか?
- 費用をかけてまで、行政書士に依頼すべきかどうか?
が分かると思います。
風俗営業許可の申請を検討している方はぜひお読みください。
風俗営業許可の申請を行政書士にお願いすべき4つの理由
一般の方が、風俗営業許可を自力で申請するのはかなり大変です。
その理由は、以下の通りです。
- 理由①:風営法の学習が大変
- 理由②:保護対象施設の有無の確認が大変
- 理由③:測量・図面作成が難しい
- 理由④:警察署の担当官との対応が難しい
詳しくご説明します。
理由①:風営法の学習が大変
「風営法の学習が大変」というのが最初の理由です。
風俗営業許可の申請を出すためには、風営法の知識が必須です。
それには、法令集や実務書を読み込み、学習することとなります。
残念ながら、風俗営業許可に関する情報はインターネットにもあまりありません。(あっても間違っている場合が多々ある)
まず、読むべき法令は以下の通り。
- 風営法
- 施行規則
- 施行令
- 内閣府令
- 各都道府県の条例
これらを読んで「照明に関するルール」「許可が下りない地域」「客室の定義」などを具体的に学んでいきます。
また、申請の出し方には細かなルールがあるため、実務書を読んで勉強する必要もあります。
現状、風俗営業許可に関する実務書はあまりなく、あっても、行政書士などプロが読むための専門書のためそこそこの値段がします。
- 定価で3,000円ほど
- 絶版になっている場合は中古で1万円ほど
これらを揃えて、申請に必要な知識を学ぶのは、時間もかかり、面倒くさいと思います。
風俗営業許可を専門としている行政書士に依頼すれば、申請のために風営法を学ぶ必要はありません。
理由②:保護対象施設の有無の確認が大変
「保護対象施設の有無の確認が大変」なのも行政書士にお願いすべき理由の一つです。
風俗営業許可申請では、「保護対象施設の有無の確認」というかな~り大変な作業があります。
「保護対象施設」とは、幼稚園や学校、病院などのことです。
「保護対象施設」周辺では、風俗営業を行うことができないため、周辺に「保護対象施設」がないことを確認することが必要です。
これが、「保護対象施設の有無の確認」です。そして、これはとても骨の折れる作業です。
プロである行政書士でも一苦労な作業です。
具体的にどの様に確認するかは以下の通り。
- 役所を回って各担当課で確認
- 周辺約120m範囲を実際に歩いて確認
詳しくみていきます。
役所を回って各担当課で確認
まず、役所を回って各担当部課で調査します。
市役所では、幼稚園や学校の有無。保健所では、病院や診療所が区域内に無いかを確認します。
なお、各担当課は風営法については全く知らないので、自ら事前に勉強した知識を元にどのような施設が「保護対象施設」にあたるのかを職員に説明した上で、どの範囲が調査対象か伝える必要があります。
もし、行政が対象となる施設のリストやマップを公開している場合、それを使って調査をしても良いです。ただ、掲載リストが前年度のもので、最新の施設が反映されていない場合も考えられますので、見落とさないよう十分注意する必要があります。
周辺約120m範囲を実際に歩いて確認
役所を回って確認した資料を元に、営業所周辺を実際に歩いて確認します。
風営法では、営業所から最大半径100mの範囲に「保護対象施設」がなければOKですが、念のため半径120mの範囲を全てくまなくチェックします。
外から見るだけでなく、雑居ビルにどんな施設が入っているかまで細かくチェックします。
ここでの見落としは許されません。
理由③:測量・図面作成が難しい
測量や図面作成が難しいのもプロである行政書士に依頼すべき理由の一つです。
風俗営業許可申請では、営業所内を正確に測量し、図面を作成する技術が必要です。これができなければどうにもなりません。
実際につまづきそうなポイントは以下の通り。
- 道具を揃えるコスト
- 測量技術の習得
- 図面作成技術の習得
道具を揃えるコスト
測量するために、道具を揃える必要があり、コストがかかります。
道具は最低限、以下のものを用意する必要があります。
- レーザー距離計:約15,000円
- スチールメジャー:約1,500円
- 照度計:約4,500円
- デジタル分度器:約2,500円
どれも、風俗営業許可申請以外では、使用する機会はほとんどないと思います。
これだけのために、わざわざ買うのももったいないですね。
測量技術の習得
風俗営業許可申請には、店舗の測量技術の習得が必要不可欠です。
図面を作成するには、ミリ単位の正確な測量技術が必要です。
例え、アバウトに測量したとしても、担当官が営業所に来る「実地調査」の段階でバレます。
測量では、どの様に面積計算をするか考えて、レーザー距離計で測量していきます。
図面を一度も作成したことがない人は、どこを測ればいいのか分からず、かなり苦労する部分でもあります。
図面作成技術の習得
また、図面作成技術の習得も必要となります。
風俗営業許可申請では、店舗を測量した結果を元にパソコンで以下4種類の図面を描いていきます。
- 営業所平面図
- 営業所の求積図
- 客室・調理場の求積図
- 照明・音響設備図
図面は、「CAD」というソフトを使用して描いていくこととなるのですが、初めてCADを触る人が、いきなり図面を描くのは難しいです。
そこで、CADの操作方法の本を買い、勉強する必要があります。
ここでも時間やお金がかかり、自分でやるのは現実的ではないとわかります。
なお、CADを使わず、手書きで図面作成するのは以下の理由からおすすめしません。
- 時間がかかる
- 正確な寸法や比率が合わず許可が下りない可能性がある
いずれにしても、初心者がイチから4枚の図面を作成するのはかなり難しいことと言えます。
理由④:警察署の担当官との対応が難しい
最後の理由としては「警察署の担当官との対応が難しい」ことがあげられます。
警察署と聞いて、あなたはどのようなイメージがありますか?申請方法について、担当官が手取り足取り教えてくれると思いますか?
実際は、市役所と違い申請手順を丁寧に教えてくれることはありません。
例えば、一般的に警察署の1階は「交通課」で運転免許の更新のため、窓口が用意されています。
一方、風俗営業許可申請を出す課は「生活安全課」です。
ここでは、犯罪に対処するのがメイン業務のため、窓口など用意されておらず入口には「関係者以外立入禁止」などと書かれていたりします。
担当官が誰だかわかり、運よく会うことができれば、廊下にあるベンチで相談にのってくれる場合もありますが、風営法を知っていることが前提で話しをされます。
このような雰囲気の場所で、一般の方が申請方法をイチから教えてもらいに行くのはかなり勇気がいるだろうなあと思います。
実際、風営法について全く知らない申請者が申請について相談しに行くと大抵「風俗営業許可申請は難しいので、行政書士にお願いした方がいいですよ。」と言われてしまいます。
また、「申請書はインターネットからダウンロードできます。図面の作り方、申請方法はご自分で調べてください。」とも言われます。
担当官のメイン業務は犯罪の対処のため、これは仕方がないことだと思います。
理由書の作成技術
また、「理由書」の作成技術も必要になります。
申請がいつも同じとは限りません。申請に必要な資料がどうしても集まらなかったり、資料の表記が異なっているなど、イレギュラーな状況では、担当官から説明を求められ、それに対し文書で理由を説明する必要があります。
例えば「建物の謄本に記載されているはずの地番が記載されていない」など、その理由を担当官に文書で説明できますか?
プロでなければそもそも上記の意味がわからないかもしれません。
これを説明するには、法務局に保管されている建物図面や公図、土地の謄本など、根拠となる資料を取得し、理由書を作成する必要があります。
上記書類は、風俗営業許可申請で必ず添付しなければいけない書類ではないため、担当官を納得させることができそうな書類を自分で判断して集めなければなりません。
このようなイレギュラーな状況に対応できるのがプロです。
もし、説明ができなかったり、理由書が書けなければ、もちろん許可は下りません。
【風営法】風俗営業許可の申請を行政書士に依頼すべき理由:まとめ
以上、これらの理由から風俗営業許可の申請はプロである行政書士にお願いすべきです。
理由をもう一度列挙すると以下の通り。
- 風営法の学習が大変
- 保護対象施設の有無の確認が大変
- 測量・図面作成が難しい
- 警察署の担当官との対応が難しい
特に図面作成は、行政書士でも難しいと感じている人が多く、風俗営業許可を専門としない行政書士は専門の行政書士に依頼することが多々あります。
それくらい風俗営業許可の申請は他の許認可と比べ難しい部類に当てはまります。
また、営業所周辺を歩いて確認したり、測量したり、図面を作成したりと、作業工程が他の許認可と比べ多いことが、これだけの費用になってしまう理由です。
これらを自分でやろうと思うと、かなりの労力がかかります。
だから、手間や確実性を考えると、風俗営業許可の申請は行政書士に依頼することをおすすめします。